クラスター発生の原因はエアコンの「風」か?
名古屋工業大学の研究グループによる分析結果は、東京を含む首都圏で新型コロナウイルス感染がなかなか終息しない理由に、「3密」と「絶対湿度」が関係していることを支持するものであり、あらためてソーシャルディスタンスの確保や換気、室内の湿度コントロールの重要性を示唆しているそうだ。
ソーシャルディスタンスの確保や飛沫防止については周知が進んでいるが、これからの季節、対策の盲点になりそうなのが空調設備という。エアコン使用中の部屋は冷気を逃さまいと換気を怠りがちで密閉空間となりやすいうえ、エアコンの使用に伴う空気の対流により感染が広がる危険性が指摘されている。
『Emerging Infectious Diseases』誌で、中国・広州市内のレストランでの新型コロナウイルスのクラスター発生がエアコンの送風によるものとの報告がなされていると書かれているそうだ。レストランでの感染者10人は、エアコンの吹き出し口から見て1列に並んだ3つのテーブルに分かれて座っていたことが分かり、発症前の1人の感染者のウイルスを含んだ飛沫やエアロゾルが、エアコンの気流に乗り他のテーブルで食事をしていた3家族9人に飛び、感染が広がったと論文の著者らは結論づけている。
新型コロナウイルスのアウトブレイクが起きたダイヤモンド・プリンセス号も省エネ対策として新鮮空気を一部取り入れて環気させる空調方式を採用していて、空調の送風と循環が船内アウトブレイクの要因の1つとの指摘もなされている。
東京都内や近県で頻発している接客を伴う飲食店や職場でのクラスター事例においても、エアコンの送風が関係している可能性があるとも考えられているが、エアコンを止めれば、熱中症などの危険性が増す。エアコン使用中であってもこまめに窓やドアを開けて換気に努めることや席の間隔を空けることが求められそうだが、
しっかり事例の分析を早急に進め、空調使用による感染拡大リスクとクラスター発生への対策について何らか注意喚起をすべきではないだろうかと考える。