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あしたへ向かって

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科研費を不正使用するとどうなる?倫理について

今週のお題「読書感想文」

 

 

 

問われる科研費の使用モラル

 科研費の取り扱いについて定めた「日本学術振興会科学研究費助成事業(科学研究費補助金)取扱要領」の第13条(補助金の使用制限)に次のような記載があります。「補助金の交付を受けた者は、補助金を補助事業に必要な経費にのみ使用しなければならない」。つまり、学会のついでに科研費で旅行しちゃおうゼー、出張のついでに科研費でお土産を買っちゃおうゼー、経費で欲しい家電を買っちゃおうゼー、などはNGというわけです。統計ソフトやパソコンなどはグレーゾーンというか、そもそも本当に必要かどうかを判断しにくいところがあるので、研究に使うという名目で是とされていることが多いようです。

 ただし,

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科研費を使ってパソコンを8年間で310台買って、それをリサイクル業者に横流しなんかしたらダメですよ! これは実際にあった話で、これは研究室の会計を任されていた非常勤事務職員がやってしまった、れっきとした犯罪です(2017年に業務上横領の容疑で逮捕、社会的制裁を受けていることなどを考慮し、不起訴処分。事例は文科省ウェブサイトより)。

 もう1つ、科研費の使途として重要なのは、「研究に関連した経費」ではなく、「研究に必要な経費」に関して支出ができるということです。研究用の試薬を保管するための冷蔵庫は購入しても構いませんが、研究室飲み会に使うビールを冷やすための冷蔵庫はNGです。

 科研費のうち、補助金分は基金分とは異なり、単年度予算で算定されます。そのため、年度末の3月31日までに使用しなかったお金は返還しなくてはいけません。3月に入って研究に必ずしも必要のないものを怒涛のごとく買いあさるのは、やはりNGです。

 確かに「研究に必要だ」という厳密な証明が難しいケースもあるでしょう。ただ、ここをずさんに行うと、内部告発されたときに疑義が生じてしまう可能性が十分にありますので。ちなみに、上記の文科省ウェブサイトに「カラ出張」や「カラ給料」などの様々な不正の実例が公表されていますが、調査が始まったきっかけは学内からの内部告発が多いようです。

 いつだったか、私の大学の先輩に科研費でアパートを借りていた人がいました。実は、研究機関の施設で研究ができない場合に限って、研究を実施するスペースを借り上げるための経費(賃料、敷金、礼金など)にも使用することができるのです。彼がそこで本当に研究をしていたのか、それとも生活をしていたのかは定かではありませんが……。

科研費の不正使用が発覚するとどうなるか

 科研費の不正使用が発覚した場合、「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」17条1項により、科研費の交付の決定が取り消される可能性があります。さらに同18条1項により、既に交付を受けている科研費の返還命令が出されます。ゲゲップ。この変換命令に従わない場合、年10.95%の延滞金が加算されます。

 そして最も重要なのは、科研費の応募資格が停止してしまうことです。一定期間停止になることが多いですが、共同研究者も不正使用を共謀した場合、連帯責任をとって応募資格を停止されることになります。事例を見る限り、教授からカラ出張を命じられた学生まで共謀にされることはなさそうですが、見て見ぬふりをしていると、共謀したことにされてしまうかもしれません。

 上記の法律30条によれば、科研費を全く関係ないものに流用した場合、「3年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金」に処せられる可能性もあります。刑事罰まで課せられることはまれだと思いますが、横領罪が適用される可能性もあります。

 科研費は近年、その額が頭打ちの傾向にあって、2011年の2633億円と比べて2019年は2372億円です(それでもこの2年は若干増加傾向です)。反面、採択件数は2011年が約6万4000件で2019年は7万9000件と増えており、1件当たりの科研費が減ってきているのが現状です。限られた財源で、有益な研究に対して補助してくれているのですから、まっとうな使い方をするよう心がけましょう。

 

 

科研費を獲得して研究に従事している知り合いはたくさんいますが、私は今までこれに応募したことすらありません。科研費とは、科学研究費補助金の略称で、簡単に書くと文部科学省独立行政法人日本学術振興会が研究者に向けて競争的研究資金を援助するものです。このほか、厚生労働省の予算で行われる厚生労働科学研究費補助金(厚労科研費)などもあります。

 何でもかんでも援助されるわけではなく、それぞれの研究ジャンルで公募が行われ、応募書類を基にした審査によって採択される仕組みです。この数年の採択率は25~30%