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あしたへ向かって

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新型コロナウイルスに効果的な消毒方法は?

新型コロナウイルスSARS-CoV-2)の感染拡大で需要が高まり、一時は薬局の店頭から姿を消した消毒用のアルコール製品。薬局でも消毒用エタノールなどの消毒薬が足りなくなるといった事態に見舞われた。

 こうした一方で、街中でよく見られるようになったのが、様々な消毒関連の商品だ。だが、国民生活センターには消費者から、商品に対する不安や心配の声が多数寄せられているという。「アルコール配合ハンドジェルの主成分の塩化ベンザルコニウムは新型コロナウイルスに効くのか」「店舗が次亜塩素酸で消毒をしているようだが、人体に影響がないか」――。

 こうした相談事例は2020年3月以降に増え始め、緊急事態宣言直後の5月には1000件近くに上ったという。7月には150件まで減ったものの、依然として多い状況が続いている。

 秋冬に懸念される感染拡大に備え、消毒に関する正しい知識を持つことは、薬局の現場だけでなく、地域住民に有益となる。以下の4つの疑問を通して、SARSCoV-2の消毒の知識をいま一度、確認しておこう。

Q1 SARS-CoV-2に有効な成分は?

 

 従来から、SARS-CoV-2に効果的な消毒・除菌方法として知られているのは、手指に対しては流水とせっけんによる手洗い、およびアルコール消毒だ。物品に付着したウイルスには熱水、アルコール消毒、次亜塩素酸ナトリウム水溶液による消毒が有効とされている。ウイルスの構造を知れば、これらが有効なのかは明らかだ。

 SARS-CoV-2は1本鎖RNAウイルスで脂質二重膜からなるエンベロープに覆われており、表面にはスパイク(S)蛋白を有する。脂質二重膜を構成する脂質分子は親水基と疎水基で構成されている。せっけんも脂質と同様に両親媒性の分子で構成されており、このせっけん分子が脂質二重膜に入り込んで膜を破壊する。厚生労働省は、せっけんやハンドソープで手を10秒もみ洗いし、流水で15秒すすぐと手指に付着しているウイルスの数を1万分の1に減らせると報告している。

 アルコール消毒の有効性については、エタノールは非常に良く水に溶けるため、エタノールSARS-CoV-2にかけると二重膜の親水性と接する水のほとんどがエタノールに置き換わり、膜を支える力が変化する。これにより膜構造が破壊されると考えられている。

 さらに次亜塩素酸ナトリウムは、酸化作用を持ち、活性分子の次亜塩素酸イオン(ClO-)がウイルスの蛋白質や脂質に結合し、その機能を阻害する。

 これらに加えて、製品評価技術基盤機構(NITE)が、経済産業省の要請を受けて20年4月以降に検証を行い、SARS-CoV-2に有効と判断したのが、表1に示す界面活性剤と次亜塩素酸水だ。これらの検証はアルコールなどの需給がひっ迫する中、一般家庭で入手可能な製品による代替消毒方法を検討する目的で、緊急的に行われた。ただし、想定される消毒対象は、テーブルやドアノブなどの物品であり、手指や皮膚への有効性を検証したものではない点には注意が必要である。

 

 

 

Q2 エタノールの有効濃度は?

 アルコール消毒に用いられる消毒用エタノールは、日本薬局方において、その濃度が76.9~81.4%とされている。品質等にも基準が定められており、第3類医薬品または指定医薬部外品として販売されている。その他、濃度99.5%以上の無水エタノール、濃度95.1~96.9%のエタノールなどは雑品として販売されている。

 アルコール消毒については、SARSCoV-2の感染拡大とともに、エタノールの品薄状態が続いたことから、厚労省から様々な事務連絡が出された。

 例えば20年4月、厚労省は米疾病対策センター(CDC)が濃度60%以上のエタノールの使用を推奨していることなどを踏まえ、濃度70~83%の酒類などの高濃度エタノール製品に加え、濃度60%台の製品についても、手指消毒を目的として医療機関や薬局で使用することを認める事務連絡を発出した。ただしこれは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行中に限定した特例的な措置で、20年8月28日時点で継続している。

 さらに、この事務連絡に関連して厚労省が公表した「薬局等での高濃度エタノール製品の使用の手引き」についても改めて確認しておきたい。

 本来、人体への使用が認められていない高濃度エタノール製品を、手指消毒用エタノールの代用として使用する際の調製方法として、例えば95%エタノール830mLに対し精製水を適量、気密容器に入れて混和し、全量で1000mLになるよう希釈すると約78.9%エタノールができるとしている。

 なお、エタノール使用時には使いやすいスプレーボトルなどに移し変えることが多いが、有効濃度に影響を及ぼすため注意が必要だ。ファーマシィ(広島県福山市)医療連携部の竹内雅代氏は「エタノールは揮発性の液体であるため、移し替える容器の気密度により使用期限が異なるので注意が必要」と話す。例えば、消毒用エタノールの製造販売元である健栄製薬(大阪市中央区)は自社製品について、容器の気密度や保管状況にもよるが、小分けで使用する場合には7日程度で使い切ることを推奨している。

今週のお題「ピザ」


ナポリの窯ー素材の良さを生かし抜く。生地編ー