細胞診を使った新しい遺伝子検査システム2
今日からですね♪
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自治医科大学呼吸器内科からは、細胞診検体を用いたマルチプレックス遺伝子変異検査のMINtS(Mutation Investigator using the Next-era Sequencer)について解説。
遺伝子パネル検査には組織検体のFFPEが用いられるが、北東日本研究機構(NEJ)による「包括的遺伝子変異検査システム(MINtSシステム)構築研究」(NEJ021A)のデータから、「2-3割の患者では検体が取れずに遺伝子変異検査ができていないという現状がある」と萩原氏は述べた。「細胞診検体でマルチコンパニオン診断をして薬剤を使えるようにすること」を目的としたMINtSにより、肺癌患者全例で遺伝子検査が可能になり、さらに細胞診ではFFPEよりも高品質なDNAが採取できるため、高感度の遺伝子検査が可能になるとした。MINtSには国産のPCR装置や解析ソフトが使われている。
2020年3月に「高感度多遺伝子検査システムMINtSによる細胞診検体を用いた肺がんdruggable遺伝子変異検索」が先進医療Aとして承認された。EGFR、KRAS、BRAF、HER2、MET ex14、ALK、ROS1、RET、NTRKが対象となっている。「今は実用的な遺伝子のみに絞り」、2022年初頭の薬事承認を目指している。また「腫瘍細胞含有率は1%でも解析できるが、偽陽性がでにくいように3-5%で申請し、TATは1-2週間である」とのこと。
NGSを取り入れた肺癌診療の流れ
岩手医科大学呼吸器内科のからは「NGSの臨床応用とその問題点」と題して講演がありその中で、「これまでシングルプレックスPCRを中心に検査がされてきたが、検査しなければならない遺伝子が増え、限界になってきた。オンコマインDxTTであたりをつけて陽性であればコンパニオン診断薬の検査をする方向が妥当ではないか」と話した。
具体的には、「いち早く治療が必要な患者さんは、TATを考えてシングルプレックスPCRで行く」。治療まである程度余裕のある患者さんで、十分な腫瘍量があるときは、オンコマインDxTTであたりをつけて、コンパニオン診断薬になっているものは治療に進む。またMET陽性となった場合はArcherMET検査を行いMETに対する治療をする。ただ、腫瘍量が少ない場合は再生検、あるいは消化管からのEUS-FNAの活用も含め、「何とか採れないかを検討する」。それでも難しいときは、EGFR、ALK、ROS-1、BRAFなどのどれを見るか、「優先順位をつけていかなければならない」。そして単一遺伝子検査を行って、「治療をしている最中に再生検のチャンスを考えていかなければならない」とした。
初回治療時にはオンコマインDxTTなど「多くの遺伝子変異をカバーするような検査をすることが大事であるが、それが実際にはできないこともある。そのときは2次治療や3次治療のときに包括的がんゲノムプロファイリング検査を患者に相談してもいいのではないかと思う」と話した。今後の課題は、リキッドバイオプシーをいかに行なっていくかであるとし、遺伝子変異の検出はNGSでよいが、耐性機序の解明も含め、「遺伝子変異のモニタリングにはデジタルPCRを含めた高感度のものでモニタリングしていくことが大事だろう」との話だった
今週のお題「もう一度見たいドラマ」必殺仕事人
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