胃癌術後の代謝性アシドーシス、輸液の注意点は?
適切な内容は、
(2)上記処方薬の投与によりナトリウムは、約83mEq負荷されることになる
(4)投与にあたっては血清カルシウム(Ca)値をモニターし、Ca値低下に注意する
(5)投与により血圧の上昇や心不全を誘発させる可能性がある
【解説】
(1)誤:代謝性アシドーシスの発生要因としては腎不全、脱水、薬剤や高カロリー輸液投与時のビタミンB1未投与や不足による乳酸性、糖尿病、下痢などが挙げられます。
(2)正:7%炭酸水素Na注射液100mL 中には7gの炭酸水素Naを含有しています。従って、Naは7000mg/84(分子量)=83.3mEq/100mLとなります。
(3)誤:炭酸水素Naの投与により血清pH を上昇させると、細胞内液の水素イオンは細胞外へ移行し、Kイオンは細胞外から細胞内へ移行するため低K血症を生じる可能性があるため、十分なモニターが必要です。
(4)正:炭酸水素Naの投与により血清pHを上昇させると、アルブミン結合Caが増加し、それに伴い遊離の血清イオン化Caが減少して低Ca血症を呈する可能性があります。
(5)正:炭酸水素Naの投与は、Naを負荷することになります。Naの投与により循環血液量が増加し、血圧の上昇や心臓に負担をかけ心不全を誘発する可能性があります。
(6)誤:電解質の許容投与速度としてNa+100mEq/時、HCO 3-100mEq/時、といわれていますが、安全性を考慮するとNa+20~40mEq/時以下、HCO3-60mEq/時以下が安全といわれています。また、急速なpHの上昇は、一気にalkalemia(アルカリ血症)に傾く危険性があるためゆっくりと投与することが必要です。