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あしたへ向かって

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唾液プール化標本のPCR検査は小中学校でのSARS-CoV-2モニターに有用

ドイツの小中学校14校で実施したクラスターランダム化試験

 

ドイツCologne大学のAlexander Joachim氏らは、小中学校に通う小児を対象として、口腔咽頭スワブ・頬スワブ・唾液スワブの検査標本を採取しプールしてPCR検査を行う方法の実用性を調べるクラスターランダム化試験を行い、年少の小児でも採取が容易な唾液標本をプール化する方法でも、学校での感染の広がりをモニターするのに役立つと報告した。

 

 

小児はSARS-CoV-2に感染しても無症状である場合が多く、COVID-19を発症しても多くが軽症で済むことが知られていた。しかし、変異株の登場により小児の感染例が増え、状況が複雑になったため、学校でのサーベイランスの必要性が高まり、学校閉鎖や再開の判断に役立つ、より良い検査戦略が求められるようになった。

 SARS-CoV-2検査の標準は鼻咽頭スワブを用いるPCR検査だが、大勢の小児を対象に繰り返し実施するのは困難だ。また、親や教員がサンプル採取を実施したのでは、やり方が不正確で陰性になったのかもしれず、検査結果の信頼性が担保できない。鼻咽頭スワブより採取が容易な唾液を標本としても、検査の感度と特異度は容認できるレベルだと報告されているが、学校での検査に応用して役立つかどうかは未定だったのだ。

 

ランダム割り付けは学級単位で行い、参加者は2通りの異なるサンプリング法、標本採取頻度、標本をプールする範囲に2x2x2で割り付けた。サンプリング法は、口腔咽頭スワブ(中学生)や頬スワブ(小学生)による標本、または棒付きキャンデーに似た採取スティックを15秒間口に入れるロリポップ法による唾液標本とした。採取頻度は、週に2回(月曜と木曜)または週3回(月、水、金曜)とした。プール範囲は、クラス単位でプールする方法と、クラスを2分して半分をプールする方法のいずれかとした。

 プール標本が陽性になった場合には、その日または翌日に、プールに含まれていた対象者から口咽頭スワブを採取し、改めて1人ひとりにPCR検査を行った。陽性だった人は隔離し、陰性だった人は引き続きクラスに残って、それまで通りにプール標本を対象とするサーベイランスを受けた。

 主要評価項目は、適用したサーベイランス方法を受け入れられるかどうか(受容率)に設定し、対象としての条件を満たした生徒の中で参加に同意した人の割合(同意率)と、同意して試験に参加した生徒の中で脱落した人の割合(脱落率)を指標に評価した。副次評価項目には、プール検査で陽性となった件数と、プール検査で陽性になり個人の検査を行った際に同定された陽性者の数などに設定したところ、

全体では69.6%だった。標本採取方法がロリポップ方式(68.9%)か口腔咽頭/頬スワブ(70.3%)か、検査の頻度が週に2回(69.1%)か3回(70.1%)か、また、クラス全体(69.0%)をプール解析したか、クラスを2分(70.1%)してプール解析したかにかかわらず、受容率に差はなかった。

 また、3週間の脱落率は、3386人中18人(0.5%)と非常に低かった。採取方法別に見ると、口咽頭スワブまたは頬スワブは14人(0.8%)、ロリポップ方式は4人(0.2%)、オッズ比は2.26(95%信頼区間0.09-0.94)で、スワブの方が途中で嫌がってしまう率が高かった。検査頻度とプール単位は、脱落率に有意な影響を及ぼしていなかった。

 児童生徒を対象とする2218回のプールPCRのうちの41回(1.8%)が陽性になった。陽性検体にプールされていた487人から口腔咽頭スワブを採取し、1人ずつ再検査を行ったところ、36人が陽性だった。プールにまとめた小児のうちの2人が陽性だったプール標本が2件、3人が陽性だったプール標本が1件あった。一方で、プール標本は陽性だったが、再検査で陽性者が見つからなかったケースもあった。これは、再検査時点で、すでにウイルス量が低下していたためと考えられた。

 小学校における3週間の累積発生率は10万人当たり564件で、中学校では10万人当たり1249人だった。

 教職員のプール検体は3標本が陽性になった。再検査で陽性になった教職員は3人だった。3人はそれぞれ別の学校に勤務していたが、この教師が受け持った学級の生徒のプール標本で陽性になった検体はなかった。

 

長くなったが、

これらの結果から、学校で行うプール標本を用いたPCR検査は、感染状況を把握して感染者を隔離するために有用で、ロリポップ方式を利用すれば年少の小児にも容易に行えると結論しているときくが。

 

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