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あしたへ向かって

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「調剤薬局」の形態をどのようにやめる??考えてみた

今週のお題「肉」煮ても焼いても食えぬタヌキさま

 

 

syrup-97.hatenadiary.jp

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調剤薬局」倒産の潮流から逃れるためには、「調剤薬局」の形態をやめるということを、前回上の記事でお話ししました。では、どうすればいいのでしょうか。

 私は、3つのステップを踏む必要があると思っています。

 まず、1つ目は社長が腹をくくることです。どんなに現場のスタッフがもがいたとしても、会社のトップが持っているイメージが「調剤薬局」であるとすれば、薬局そのものが変わることは不可能でしょう。実習中など、色々な薬局で働いている薬剤師さんの見ることがありますが、彼らの苦悩の多くは、この現場と社長の感覚のギャップにあるのではないかと思います。

 例えば、服用後のフォローアップを充実させたり、在宅への取り組みを強化させたりしたい、OTC薬の売り上げを上げるために準備したいと現場が思っても、それは社長の思い描く「調剤薬局」のあり方とは大きく異なります。

 新たな取り組みのウエートがまだ小さいときはよいのですが、服用後のフォローを熱心にするために残業が増えたり、在宅に力を入れすぎるあまり外来の患者さんへの対応がおろそかになってクレームが出たり、OTC薬の仕入れや店舗陳列の面積を増やして不動在庫が発生したりすると、そのスタッフに対する社長の覚えは悪くなってしまいますよね。

 社長も、やらなくては駄目だと思っていることが多いのですが、業態変更には、経営にとってプラスにならない時期が必ずありますから、腹をくくっていなければ、それに目をつぶって辛抱することができなくなります。その中で苦しんでいるという現場の薬剤師の苦難が、あふれているように思います。ですので、社長が「我々は調剤薬局という形態を離れるのだ」と腹をくくることが、第一歩として重要かと思います。

 2つ目は、薬剤師を暇にすることです。今の「調剤薬局」での業務は、非常に忙しく人材不足も相まって、残業も日常的なものになっています。

 身も心も疲れていて余裕がない中で、服用後のフォローをしたり、在宅業務に注力したり、セルフメディケーションに取り組んだりという余裕はありません。また、そういったものに無理して取り組むと、どこかで身体的・精神的な限界に達して、やっていけなくなります。

 薬剤師自身が立ち止まり、どうするべきかを考え、それに備えて第一歩の行動を起こすための、時間・気力・体力をいかに温存するかが大切です。その余裕ができれば、真面目な薬剤師さんは、この数年の変化の中で感じ取ってきた薬剤師が取り組むべき業務に向けてアクションを起こし始めます。

 暇にするためには、(1)現在の業務フローの見直しと整理、(2)積極的な機械化とICT化、そして(3)それらを通じて見えてくる「業務的に重要であるが薬学的専門性がない」業務を担う薬剤師以外の人材を育成し、現場に投入することが不可欠になるでしょう。

 そして3つ目は、薬剤師が患者さんが薬を飲んだ後までフォローし、その状態を薬学的に評価、それらを基にした次回処方への提案を医師にフィードバックするための知識・技能・態度を身に付けることです。

 フォローするためには、血圧、脈拍の測定だけでなく、体温やSPO2のチェック、呼吸音、心音、聴音などの聴診、四肢のむくみなどの評価が欠かせません。また、それらのバイタルサインを基に、今の服用内容の効果や副作用を判定するための薬理学、薬物動態学、製剤学の知識が必要ですし、それらを簡潔かつ効果的に、医師や看護師などにフィードバックするコミュニケーションスキルも欠かせません。

 もちろん、これらを身に付けるためには生涯教育や現場でのロールプレイなども必要でしょうが、そのためにも、2つ目で取り上げたように時間・気力・体力を温存しておく必要があります。

 これら3つは、紹介した順番で取り組むことが大切だと考えました。

 

 

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