百日咳疑いでも「検査しない」が4割弱!?
小児のみならず、成人の患者増が指摘されて久しい百日咳。
百日咳疑いでも「検査しない」が4割弱と、検査の活用が進んでいない現状である。また、確定診断した後も報告していない医師が3割強存在することも。
また、「成人でも症例が増えているので、注意が必要と思う(40歳代病院勤務医、一般内科)」や、「疑い例を含めて最近増えている印象がある(40歳代病院勤務医、一般内科)」という声がある一方で、回答した医師7217人の6割以上が「百日咳が疑われる患者を診療していない」と答えていた。
・案外多い疾患。念頭にないと見逃しやすい(50歳代病院勤務医、耳鼻咽喉科)
・疑わないと何も始まらない(40歳代開業医、糖尿病科)
・見逃しているかも(60歳代開業医、一般内科)
・成人の百日咳を見逃している可能性があると思っています(40歳代病院勤務医、循環器内科)
百日咳が疑われる患者を診療している医師のうち、何らかの検査を実施している医師は63.2%(1735人)で、36.8%(1012人)の医師は検査を実施していなかった、下図
確定診断のために使用している検査として最も多かったのは、PCR法による遺伝子検査で、2016年に登場したLAMP法による遺伝子検査、IgM/IgA抗体検査も僅差であった。
一方、今年登場した抗原検査を既に実施している医師は184人とまだ少数だった。
「感染後咳嗽や咳喘息と診断されて、咳が治まらない症例をときどき診ている、長引く咳によってCOVID-19感染を周囲に疑われるなど、咳で患者が感じる苦痛は医療者が思うよりはるかに大きいものと考えている。迅速検査が実装されたので正確な診療がしやすくなった(30歳代病院勤務医、総合診療科)」や「迅速診断が可能になり、年長児の見逃し例が多いことが分かった(60歳代病院勤務医、小児科)」らというように迅速検査の登場を歓迎する声もある。
百日咳疑い患者にどんな検査をしますか?との質問では、
実は、百日咳は2018年1月に5類感染症の全数把握疾患に指定されており、小児だけでなく成人患者でも感染症法の規定に基づく報告義務があるが、診断後に報告している医師は68.4%(1560人)で、31.6%の医師は報告義務があるにもかかわらず、報告していなかった。
報告していないという医師にその理由は、「臨床診断のみで届出基準にある検査をしていないため」が最も多く43.5%(407人)だった。一方、そもそも「報告義務があることを知らなかった」という医師も33.0%(308人)存在した「忙しいため」報告していない医師14.3%(134人)だった。
6月に登場した迅速抗原検査キットでは、陰性でも完全には百日咳を否定できない点には注意を要するが、簡便に結果をすぐ得られるというメリットはある。
私としては、咳嗽を感染後咳嗽や咳喘息と診断する前に、百日咳を鑑別に挙げることが求められているように感じる。