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あしたへ向かって

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選択肢広がる睡眠薬の使い方と出口戦略はある?

2020年6月に小児向けの入眠改善薬としてメラトニン(商品名メラトベル)が、同年7月にはオレキシン受容体拮抗薬のレンボレキサント(デエビゴ)が発売され、選択肢が増えた睡眠薬。専門家はこれらをどう使いこなしているのか。また、睡眠薬を含む精神科薬物療法については、厚労省の研究班によって「出口戦略ガイドライン」が作成され、今後パブリックコメントを経て公開される見込み。

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2020年7月に発売されたレンボレキサントは、スボレキサント(ベルソムラ)に続く第2のオレキシン受容体拮抗薬である。脳内で覚醒に関与するオレキシン受容体の2種のサブタイプ(オレキシン1および2)に対して、オレキシンと競合的に結合することで覚醒状態を制御し、入眠や睡眠維持をもたらす。

 既存のスボレキサントとの大きな違いとは、薬物相互作用に関する部分だ。

スボレキサントは、イトラコナゾール(イトリゾール他)、クラリスロマイシン(クラリシッド、クラリス他)など薬物代謝酵素CYP3Aを強く阻害する薬剤との併用が禁忌とされているが、レンボレキサントは併用注意にとどまり、減量して投与できる。

 「効果の持続時間はオレキシン受容体拮抗薬の2剤ともに『短時間作用型』と見なしてよい」と考える。また、2剤の間で臨床効果には大きな違いはないものの、強いて言えば「眠気の立ち上がりに違いがある」といった使用感を持つ医師も多い。実際、、「レンボレキサントは寝付きの改善に良い効果を示す傾向があるため、入眠困難や持ち越し効果を心配する患者によく使い、スボレキサントは、中途覚醒早朝覚醒の患者によく使っている」と言うものも多い。

 

syrup-97.hatenadiary.jp

 

基本は非ベンゾの6剤から「ナラティブに決める」

 

 

 「この中で、ベンゾジアゼピンの薬剤は身体依存やふらつき、筋弛緩性などのリスクが高いため、不眠症治療に関して練度の高い医師を除いて、不眠に対して使うべきではない」と三島氏。よって、基本的にはオレキシン受容体拮抗薬、メラトニン受容体作動薬、GABA-A受容体作動薬の中でも非ベンゾジアゼピン系の計6剤で治療を組み立てていくことになる。「薬の『益』と『害』は人によっても大きく異なるため、この6剤の中から患者に応じた治療薬をナラティブに決める」との主張する意見もでた。

 非ベンゾジアゼピン系のゾルピデム酒石酸塩マイスリー他)、ゾピクロンアモバン他)、エスゾピクロン(ルネスタ他)もベンゾジアゼピン受容体作動薬のくくりに入っているが、「身体依存のリスクはベンゾジアゼピン系に比べてかなり軽減されているため、患者に合うのであれば無理して避ける必要はない」

例えば米国のACP(American College of Physicians)によるガイドライン(2016年)ではエスゾピクロン、ゾルピデム(頓用、持効製剤、舌下)、スボレキサントが推奨に、AASM(An American Academy of Sleep Medicine)によるガイドライン(2017年)ではスボレキサント、エスゾピクロン、ゾルピデムラメルテオン(ロゼレム)が「利益が不利益を上回る」とされている。なお、AASMのガイドラインでは、ベンゾジアゼピン系のトリアゾラムハルシオン他)や一般用医薬品OTC薬)の睡眠改善薬に含まれるジフェンヒドラミンなどが「利益と不利益が拮抗する」とされ、抗うつ薬トラゾドンデジレルレスリン他)は不眠症に用いる場合、不利益の方が利益を上回っているとされている。

 ただし、非ベンゾジアゼピン系の薬剤は、オレキシン受容体拮抗薬やメラトニン受容体作動薬と比べれば、認知機能の低下、ふらつき、転倒リスクの増加などの副作用が強いため、職業ドライバーや仕事で精密機器を扱う人、軽度認知障害(MCI)の人などに対しては向かない。また、メラトニン受容体作動薬は作用が比較的マイルドなため、高齢者に使用することが多いという。「不眠症治療のゴールは日中機能の改善だ。治療薬を選ぶ際は、副作用の影響も気にしつつ、眠れているかどうかだけでなく、患者が日中、気分良く過ごせているかどうかを評価する」

楽しい、健康的な日常生活が送れなければ、意味がないですからね。

 さらに、2018年診療報酬改定では、ベンゾジアゼピン受容体作動薬を長期処方する場合に処方料・処方箋料が減点される規定が設けられた点。

ただし、精神科の医師からの助言を得ている場合、不安または不眠に関する研修を修了しているなど十分な経験を有する医師が処方した場合は、通常の処方料・処方箋料で算定されている。

小児のメラトニンは需要増で出荷調整に