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あしたへ向かって

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患者負担を軽減する新たな治療薬【新薬】タファミジス(ビンマック)

2021年9月27日、トランスサイレチン(TTR)型アミロイドーシス治療薬のタファミジス(商品名ビンマックカプセル61mg)の製造販売が承認された。

適応は「TTR型心アミロイドーシス(野生型および変異型)」、用法用量は「成人に1日1回61mgを経口投与」となっている。
 アミロイドーシスは、種々の前駆蛋白質から形成された難溶性のアミロイド線維が末梢神経、自律神経系、心臓、腎臓、消化管などに沈着し機能障害を起こす、予後不良な疾患群の総称である。前駆蛋白質は、現在30種類以上同定されており、特にTTRなどで形成されるアミロイドーシスはTTR型アミロイドーシスと称される。主に心臓に蓄積し、形態学的かつ機能的な異常を来すTTR型心アミロイドーシス(ATTR‐CM)は、トランスサイレチン遺伝子に変異のある変異型と、変異のない野生型に分類。

 

 

 一般的にATTR-CMは、心肥大、拡張障害を主体とした病態を呈するものの、収縮障害、房室伝導障害、心房細動、致死的不整脈などを引き起こすことが報告されている。従来、ATTR-CMに対する治療法は、利尿薬の投与やペースメーカー留置などの対症療法のみであったが、2019年3月、TTR型家族性アミロイドポリニューロパチー治療薬のタファミジスメグルミン(ビンダケル)にATTR-CMの適応が追加された。

 ビンマックは、2番目のTTR型アミロイドーシス治療薬であり、ビンダケル(20mgカプセル)の1日服用量である1回4カプセル(計80mg、ATTR‐CMの場合)という患者負担を軽減する目的で開発された。本薬は1カプセルにタファミジスメグルミンの活性本体であるタファミジス遊離酸を61mg含有しており、ビンダケル80mgに相当する。タファミジスは、TTRの天然構造である4量体の2つのサイロキシン結合部位のうち、少なくとも1つに結合することで4量体を安定化させ、その解離および変性を抑制し、新たなTTRアミロイド形成を抑制。

 ATTR-CM患者を対象としたタファミジスメグルミン製剤および本薬の安全性および有効性を評価する国際共同第III相試験(本薬投与集団を評価した中間報告)などから本薬の既存薬剤(タファミジスメグルミン)との生物学的同等性と安全性が確認された。海外では、2021年5月現在、欧米を中心に世界50以上の国または地域で承認されているが、、、

 副作用として、γ‐GTP増加、咳嗽、下痢、悪心、便秘、鼓腸、腹部膨満、浮動性めまい、尿路感染、そう痒症(1%以上)などが報告されているので十分注意する必要がある。

 薬剤使用に際しては以下の事項に留意しておかなければならない。

●既存のタファミジスメグルミン製剤との取り違えに注意する。本薬61mgは、血漿中タファミジス濃度としてタファミジスメグルミン製剤80mg投与時に相当する

 

 

 

●投与中の忍容性から本薬の減量する場合は、既存のタファミジスメグルミン製剤20mgを使用する

●承認までの治験症例が限られていることから有効性および安全性に関するデータ収集のために、全症例で使用成績調査を実施する