confessiondemasque.hatenablog.com
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トリプタンは片頭痛の特異的な治療薬である。セロトニン受容体を刺激して、三叉神経を鎮静化し、拡張した硬膜動脈を収縮させて、三叉神経血管系の神経原性炎症を特異的に抑制することにより、抗片頭痛作用を発揮する。ただし、トリプタンをうまく使いこなすには幾つかのポイントがある
■症例 36歳男性
市販の頭痛薬は効くが、トリプタンは全く効かない。
高校生の頃、初めて閃輝暗点と激しい頭痛発作を経験した。その後、年に数回、同様の発作があった。数年前より、頭痛の頻度が増加し、最近は月に数回起こるようになった。かかりつけ医から、片頭痛によく効く薬があると、トリプタンを処方してもらった。閃輝暗点が始まったので、これまで使用していた頭痛薬ではなく、トリプタンを内服したが、全く効果がなく、閃輝暗点が消えた後、激しい頭痛が起こった。トリプタンは3回試した。1回は多少頭痛が軽かったような気がするが、他の2回は全く効果がなかった。いずれも市販の頭痛薬を飲んで軽減した。かかりつけ医から、「トリプタンが効かないのはおかしい」と言われ、心配になり、受診した。
身長175cm、体重58kg、BMI＝18.9、血圧132/68mmHg、脈拍66回/分。一般身体所見、神経学的診察（神経学的検査）ともに異常なし。
追加問診の結果：トリプタンはなるべく早く飲むように指示されたので、閃輝暗点が始まってすぐに内服した。閃輝暗点はこれまで同様、約30分続き、閃輝暗点が消えて約20分後から片側の激しい頭痛が出現した。頭痛発作中は悪心があり、音や光を不快に感じた。
問1 本例の頭痛の診断名は何か。
問2 脳画像検査や他の精査は必要か？
問3 トリプタンで治療するなら、どのような指導を行うか。
問1の答え
前兆のある片頭痛（典型的前兆に片頭痛を伴うもの）
問2の答え
一般診察、神経所見に問題はなく、甲状腺機能異常を疑う症状や所見がないので、必ずしも脳画像検査や内分泌検査は必要ではないが、患者や紹介医が希望しているので実施して確認しておくべきである。
問3の答え
前兆期ではなく、頭の「痛み」が始まってから、なるべく早めに使用するよう指導する
