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あしたへ向かって

トレンド、医療、政治、趣味について書いていきます

「息苦しさ、喉の違和感」に隠れた意外な疾患

 11月も半ばとなり、朝晩の冷え込みが厳しくなってきましたね。コロナ禍により例年とは違った秋を過ごされているとは思いますが、私たちも来るべき冬、今までとは違う冬に対応すべく、日々備えています。

 インフルエンザワクチンが足りなくなるのではという懸念の声を耳にする一方、社会全体の意識がウィズコロナ時代に対応しつつあることで、もしかしたらインフルエンザ自体が流行しない可能性もあるとの考えも聞きます。

 過去記事→

confessiondemasque.hatenablog.com

 



 確かにその通りかもしれませんね。新型コロナウイルスの感染が広がり始めた今年の2月ごろから、インフルエンザ患者が激減しました。例年ですと、3月中旬くらいまではインフルエンザ患者が多いものですが、今年は全くそのようなことはありませんでした。

 もちろん、決して油断はできませんし、インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスが同時に猛威を振るう可能性だってあります。新型コロナウイルスPCR検査陽性者が徐々に増えてきたのは、油断のせいなのか、気温が低下してきたからなのか、あるいは空気が乾燥してきたからなのか。換気ができないからなのか、現時点では分かりませんが、いずれにしても今まで通り、予防をしながら社会活動を続けていくしかないのでしょうか。

 そんな中、新型コロナなのかインフルエンザなのか、あるいは別の疾患なのか、判断に悩んだ難しい事例を経験しましたので、ご紹介します。


 

救急隊 40歳代の男性で、息がしづらいとのことで救急車要請されています。

 呼吸困難ということでしょうか?

救急隊 仕事が終わって、自宅へ急いで帰ろうとしていた時に、急に空気が吸いづらいような症状があったとのことです。

 なるほど、詳しい情報をお願いします。

救急隊 その後、自宅内で呼吸がしづらくなり、しばらく休んでいたようですが、改善がないので救急車要請となりました。現着時は若干過呼吸気味でしたが、現在は落ち着いています。特に既往歴はありません。内服薬もありません。バイタルサインは、意識レベル清明、血圧は160/90mmHg、脈拍80回/分・整、呼吸数20回/分、酸素飽和度99%(大気圧)、体温36℃です。呼吸音に左右差はありませんし、気道狭窄音も聴取できません。

 咽頭痛や咳などの症状はあるのでしょうか?

救急隊 痛みの訴えはありません。吸いづらい症状がメインです。

 かぜ症状はないということですね? 新型コロナウイルス感染者との接触はありそうですか?

救急隊 かぜ症状はないと言っています。新型コロナウイルス感染者との接触もないようです。

 了解しました。受け入れ可能です。

救急隊 10分くらいで着くと思いますので、よろしくお願いいたします。

── 何だろう?新型コロナウイルスは関係なさそうだけど。

救急車到着。

 つらい症状は何でしょうか?

患者X 息が苦しい……。

 胸は痛いですか?

患者X 痛いところはないけど、ここ(咽頭の付近を指して)がおかしい感じがする。

 分かりました。

この時点では、頻呼吸なし。冷汗なし。簡単な診察をしても、頭頸部に異常なし、呼吸音に異常なし、腹部に異常なし、下腿浮腫なし。

── 咽頭の違和感以外に症状もないし、炎症っぽくもないし……何だろうか……。

 咽頭付近の検査をしてみましょう。

患者X よろしくお願いします。

 

 咽頭~胸部のCT画像から

 

咽頭~胸部CT検査を施行(写真1)。

 うーん。明らかな異常所見は分からない……。

患者X やっぱり、違和感がある。

 最近、疲労がひどいとか、寝られていないなどはありますか?

患者X うーん。確かにストレスがあって、すごく疲れているし、寝られないことも多くなったかな。

 なるほど。現時点では、Xさんの症状は内科的な症状なのかもしれませんし、そうではないかもしれません。今後の症状の経過で何か分かることがある可能性もありますが、この段階でははっきりとした病名は不明です。

患者X そうですか……。何か薬はありますか?
 精神的な要素で症状が出ているのであれば、安定剤(抗不安薬)などが効くかもしれませんが、そうでなければ何も効果が出ないかと思います。

患者X 一応、薬を出してもらえますか?

 分かりました。

── 何とも言えない気持ちで帰宅させたが……。

その数時間後。

別の救急隊 先ほどそちらを受診された患者Xさんですが、やはり呼吸苦があり、再度救急車要請されています。症状は同じようです。

 うーん、先ほど受診された時に検査はしているんですよね……。後は何をすればいいのか……。

別の救急隊 なるほど。別の病院にも聞いてみますね。

 すみません。

さらに数時間後。

最初の救急隊 別の病院に運ばれてから、しばらく様子を見ていたようですが、徐々に胸腹部痛も出現したとのことです。そこで造影CT検査をしたら、大動脈解離 Stanford A型だったようで、さらに高次機能病院へ転送してきました。ご迷惑をお掛けしました。

 えー!!マジですか……。救クリで撮ったCT画像を見直しても全然分からない……。

最初の救急隊 救命救急センターの先生も、最初の症状で判断するのはかなり難しいとおっしゃっていました。

 うーん、血管系のイベントは注意していたつもりが、感染症などに気を取られているうちに認識が甘くなっていた。

最初の救急隊 我々も評価が甘かったと思います。反省して、今後も頑張りますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 

 

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