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9価HPVワクチンが承認へ、今後の展開は?いかに

厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は9価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンのシルガード9水性懸濁筋注シリンジ(組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(酵母由来))の承認を了承した。議決は5月20日付で、早ければ6月中にも承認される見通しだそうだ。

 現在、国内で承認されているHPVワクチンは2価と4価の2種類。多くの国では9価の接種が既に一般的となる中、わが国では2015年の承認審査から部会通過までに5年もの歳月を要した。その背景には、HPVワクチンが定期接種となった2013年4月以降に、ワクチンとの因果関係が否定できない運動障害や持続的な疼痛例などが相次いで報告され、わずか2カ月で国による接種勧奨が差し控えられたという経緯もありそうだ。

子宮頸癌の罹患率は近年増加傾向

 HPVは子宮頸癌や肛門癌、膣癌、尖圭コンジローマといった多くの疾患の原因となるウイルスで、発癌性のある高リスク型と尖圭コンジローマや良性腫瘍の原因となる低リスク型に分類される。100種類以上あるHPVのうち高リスク型は約15種類で、主に性的接触により感染する。

 HPVはごくありふれたウイルスのため、性交渉の経験がある女性の50%以上は生涯で一度は感染するとされているが、そのほとんどは2年以内にウイルスが自然に排出されると言われている。一方でウイルスが自然排出されずに数年から数十年にわたって持続感染する場合もあり、そうしたケースで子宮頸癌の発症に至ると考えられている。現在報告されている子宮頸癌の罹患数は年間約1万1000人で、罹患数・死亡者数ともに近年増加傾向にある。

 HPVワクチンは、接種により誘導された血清中抗HPVIgG抗体が子宮頸部粘膜に滲出することによりHPVの持続的な感染を予防すると考えられている。既に国内で承認されているワクチンのうち、2価の「サーバリックス」は、子宮頸癌の原因の60~70%を占める16型、18型HPVの感染を防ぎ、4価の「ガーダシル」は16型、18型に加えて尖圭コンジローマの原因となる6型、11型HPVの感染を予防する。このたび承認が了承された9価ワクチンは9つの型(6、11、16、18、31、33、45、52、58)をターゲットとしており、子宮頸癌の原因の90%をカバーできるとされている。

立ちはだかる接種率の壁

 9価ワクチンの承認後は定期接種化に向けた議論が行われるものとみられるが、仮に定期接種化されたとしても、その先にはHPVワクチン接種率の壁が立ちはだかることになる。というのも、2013年6月に国による積極的勧奨が中止されて以降、2価と4価のHPVワクチンは定期接種としての位置付けを維持しているにもかかわらず、国内の接種率は積極的勧奨差し控え前の7割程度から1%未満に大幅に低下している。国や医療関係者、マスコミなどが今後、HPVワクチンに対するメッセージをどのように発していくかが焦点になりそうだ。

 なお、HPVワクチンの安全性に関しては、WHOが「極めて安全」との見解を示しており、2価、4価、9価のいずれのワクチンも優れた安全性と有効性のプロファイルを示すと結論している。また、わが国で報告されたワクチン接種後の多様な症状に関しては国内外で多くの解析が行われているが、現在までにワクチン接種との因果関係を証明するような科学的・疫学的根拠を示した報告はない。

 一方、9価ワクチンの承認に関しては根強い反対意見もある。国と製薬企業を相手に訴訟を起こしているHPVワクチン薬害訴訟全国原告団らは、2価、4価HPVワクチンの副反応はいまだ未解明で、有効な治療法が確立していない点などを理由に、9価ワクチンの承認に反対する意見書を厚労省に提出している。

 

 

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