新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行は当初、夏頃までには収束し、今年は東京オリンピックでわいわいムードのはずだったのですが、パンデミックがダラダラと続き、とうとうインフルエンザシーズンが到来しようとしています。
さて、このままインフルエンザシーズンに突入した場合、医療従事者にとって1つの課題が立ちはだかります。
それは、インフルエンザとCOVID-19の鑑別です。
昨シーズンは世界的にインフルエンザ患者が減少しました。インフルエンザ流行に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)がどういう影響を与えたのかはまだよく分かっていませんが、世界的に感染予防の輪が広がったからかもしれません。あるいは、海外渡航がほぼ途絶えたため、日本にインフルエンザが持ち込まれなかったからかもしれません。
今年の冬からのシーズンで再びインフルエンザの流行が抑えられる可能性もありますが、ここでは取りあえずある程度は流行するという前提の下、話を進めていきたいと思います。
2つの感染症は鑑別できるか?
SARS-CoV-2の感染では、細菌感染症やその他ウイルス感染症の併発が少なからず報告されています1)。自験でも、尿中肺炎球菌抗原が陽性になったCOVID-19症例がありました。
インフルエンザシーズンを迎えるに当たって問題になるのは、両ウイルスの鑑別ですが、共感染の可能性を考えると、もはや鑑別することに意味があるのかどうかという議論も出てきそうです。
日本感染症学会が提言した「今冬のインフルエンザとCOVID-19に備えて」によると、「COVID-19とインフルエンザの鑑別は困難である」と明記されています2)。
発熱、咳嗽、倦怠感など、呼吸器系に感染するウイルスはだいたい同じ症状ですから、そりゃあ鑑別は難しいでしょう。
Larsenらによるインフルエンザ患者2470人、COVID-19患者5万5924人の検討では、ハッセ図に示すように、インフルエンザは「咳嗽→発熱」の経過、COVID-19は「発熱→咳嗽」の経過をたどりやすいとされています。
私もその様に考えています。
コロナは熱から来やすいということ。皆さんの印象はいかがでしょうか?
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いずれ、インフルエンザウイルスとSARS-CoV-2の感染を同時に判定できるキットが登場する見込みで、もしかすると次のインフルエンザシーズンではそれが活躍するかもしれません。
個人的には、入院が必要ない軽症例には、インフルエンザウイルスもSARS-CoV-2も検出しなくてよいと思っています。しかしインフルエンザですら陰性証明を求める人がいる世の中、世間が「非検査」を許容してくれないかもしれません。ソフトバンクグループの孫正義社長も「PCRどんどんやろう」と情報発信しています
世論がこれに追随する可能性もあります。
高齢者や基礎疾患を有する人だけが入院対象となり、それ以外は事実上2類感染症相当の扱いでなくなるなら、なおさら軽症例は検査しなくてもよいと思うのですが、残念ながら、恐らく「両方検査できるようになったら取りあえず検査する」というのがニューノーマルになるのでしょう。
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今週のお題「いも」