アフガニスタン情勢
1.アメリカ軍の撤収完了
◇ 2021年8月30日、アメリカのバイデン大統領は、アフガニスタン駐留アメリカ軍の撤収が完了したと発表した。
→ 2001年のアメリカ同時多発テロ以降、20年間続いた戦争が終結した。
◇ アメリカが20年戦争で投じた戦費は約2兆2,610億ドル(約250兆円)、アメリカ兵の死者数は約2,500人にのぼった。
2.タリバン主導の暫定政権の成立
◇ 2021年8月15日、イスラム主義組織「タリバン」は、首都カブールを制圧し、全土を掌握したと宣言した。
→ アフガニスタンのガニ大統領は、タリバンへの抵抗を断念し、国外へ脱出した。
◇ 2021年8月23日、日本政府は国家安全保障会議(NSC)において、自衛隊機の派遣を決定し、航空自衛隊のC2輸送機1機およびC130輸送機2機がカブールに向けて出発した。
◇ 2021年8月30日、タリバンは国内各派を糾合した「包摂的な政府」が発足するまでの間、崩壊した民主政権の幹部らを登用した暫定政権を発足させることを明らかにした。
◇ 2021年8月31日、タリバンの報道官は「完全な独立を達成した」と主張し、新政権樹立に向けた動きを加速させた。
→ タリバンは全土を掌握した後、女性の教育や音楽等を禁じた1996~2001年の前回政権での恐怖政治のイメージを払拭しようと、融和姿勢を強調している。
→ タリバンは民主的な体制を否定しているため、極端なイスラム法解釈に基づく支配が復活する懸念が高まっている。
◇ 2021年9月28日、タリバンは暫定政権による統治期間中の措置として、女性の選挙権を認めた立憲君主制時代の1964年制定の憲法を一時的に復活させる方針を明らかにした。