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あしたへ向かって

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コロナに負けない!氣晴らしの漢方「柴胡剤」

 

新型コロナウイルスと社会不安

 新型コロナウイルス感染症COVID-19)の世界的な流行が止まりません。3月11日には世界保健機関(WHO)が、新型コロナウイルスについて「パンデミック(世界的流行)と見なせる」と発表しました。日本では、マスク、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、アルコール消毒液が不足し、時差通勤・テレワークが推奨され、東京ディズニーランドユニバーサル・スタジオ・ジャパンといったテーマパークの臨時休業、スポーツ・コンサート・卒業式・送別会・医学学会などイベントの中止、そして公立学校の一斉休校となりましたね。

 これらの再開のめどが立たない中、経済が回らなくなり、株価は下がり、円高ドル安が進行しています。新型コロナウイルスの流行拡大そのものに対する不安とともに、これから日本、生活がどうなってしまうのだろうという社会不安が広がっています。そこで今回は、ストレスをためないための氣晴らしの漢方治療についてご紹介します。

 

人間が生きていく上で大切な要素が3つあります。それは快食、快眠、快便です。ストレスがたまると、(人間のエネルギー)の流れが詰まることで「氣うつ」という状態になり、この3つの要素に支障を来たします。つまり、食事が美味しくなくなり、夜眠れなくなり、便の出が悪くなるのです。

 氣うつに特徴的な所見として、からだのどこかが詰まった感じがします。初期には頭や喉が詰まり、さらに進行すると胸が詰まる(胸脇苦満:きょうきょうくまん)ようになります。胸の詰まりはイライラ氣うつと表現され、柴胡剤(さいこざい)という漢方薬が証とされます。

 

イライラ氣うつに柴胡剤(さいこざい)

 柴胡剤は「Psycho剤」とも呼ばれ、メンタルヘルスのための一連の漢方薬に含まれています。とかく生きづらい世の中を、少しでも心静かに過ごすための7処方をご紹介します。

大柴胡湯(だいさいことう)
 最も実証の方向けの柴胡剤です。性格的にメチャメチャ恐くて周囲への当たりが強い人(某大統領のような方)の、アタマに上った血熱を冷まし、排便を促すことで、こころとからだの勢いを削ぎ落として穏やかになっていただくための漢方薬です。
・立派な体格
・強い胸脇苦満(きょうきょうくまん:肋骨弓部の重苦しさ)
・のぼせ
・便秘
などの症状があれば適応になります。

 

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
 24時間戦闘状態にある方向けの柴胡剤です。中年以上の読者の方は、1980年代バブルの頃、「24時間戦えますかー。リ○イン。リ○イン。ジャパニーズ・ビジネスマーン」という歌を覚えていますでしょうか。交感神経過緊張状態でバリバリ働き、自分のホンネで生きているため、ウラオモテがなく、他人との軋轢を招いてしまうような人が、柴胡加竜骨牡蛎湯の適応となります。

 テンション高めで暮らしていたところ、予測不可能なことが起こり、自分の思い通りにいかなくなったため、パニックを起こしてキレてしまうような人の不安を取り除いてあげる漢方薬です。
・胸脇苦満(肋骨弓部の重苦しさ)
・臍上悸(さいじょうき:臍周囲での腹部大動脈の拍動)
などの症状があれば適応になります。

 

加味逍遙散(かみしょうようさん)
 日によって愁訴がコロコロと変わる人に用います。いわゆる「不定愁訴」というものですね。イライラを言葉として表出して(皆さんは訴えをビッシリと書き込んだメモを見せられたことはありませんか?)、怒りの矛先が身内に向かうような人が適応とされています。加味逍遙散の構成生薬である薄荷(はっか:ミント)が、頭をスッキリさせることで氣持ちを落ち着かせます。
・胸脇苦満(肋骨弓部の重苦しさ)
・臍上悸(臍周囲での腹部大動脈の拍動)
・小腹急結(しょうふくきゅうけつ:下腹部の圧痛)
などの症状があれば適応になります。

 なお、加味逍遙散が対象となる人は、多彩な愁訴のため、何から治療していけばよいのか、治療者も悩んでしまいがちです。こうした「申し分絶えざる人」には、訴えが起こる度に、その都度その都度治療者が「対応してあげていますよ」という態度を表明することが重要とも言われています。加味逍遙散をベースに、「かぜ氣味です」と言われたらかぜの引き始めの漢方薬:香蘇散(こうそさん)を処方し、「氣分が悪いです」と言われたら吐き氣止めの漢方薬:半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)を処方するといった具合に、きめ細やかなフォローが必要です。

 

四逆散(しぎゃくさん)
 第2回第5回でも紹介した柴胡剤です。とても礼儀正しく、パッと見「いい人」なのですが、実は悩みを抱えていて、イライラ、怒りなどの感情を表に出さない人に用います。嫌なことがあるとコーラやビールなどのシュワーっとした飲み物が欲しくなりますが、四逆散を飲むと本当にソーダのような味がします。
・手汗をビッショリかいている
・胸脇苦満(肋骨弓部の重苦しさ)
・心下痞鞭(しんかひこう:胃が詰まる)
・腹直筋孿急(ふくちょくきんれんきゅう:腹直筋の緊張)
などの症状があれば適応になります。

柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
 イライラ氣うつの治療に限らず、漢方治療においてどの漢方薬を出したらよいのか途方に暮れた場合、とりあえず柴胡桂枝湯を処方することをお勧めします。柴胡桂枝湯は急性期のかぜ薬である桂枝湯(けいしとう)と、亜急性期のかぜ薬である小柴胡湯(しょうさいことう)の合剤でもあります。患者さんの寒熱や虚実を氣にすることなく処方できます。
・頭痛
・胸脇苦満(肋骨弓部の重苦しさ)
・心下痞鞭(胃が詰まる)
・腹直筋孿急(腹直筋の緊張)
などの症状があれば適応になります。

 

柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
 職場の和を大事にして周囲への配慮を欠かさず、氣を遣いすぎている人が適応とされています。普段はオモテの顔とウラの顔と使い分けて「いい人」を演じているのですが、疲労困憊の果て、ある日プッツリと燃え尽きてしまい、離職や最悪の場合には自殺などのドロップアウトを考えてしまう。そんな人のために柴胡桂枝乾姜湯はあります。

 柴胡桂枝乾姜湯の構成生薬である栝楼根(かろこん)が、乾いたこころを潤すことで氣持ちを落ち着かせます。柴胡剤はからだを冷やして乾かす作用が強いのですが、柴胡桂枝乾姜湯だけは例外で、冷えたこころとからだを乾姜(かんきょう:乾かした生姜)で温め、栝楼根で潤す作用があります。柴胡桂枝湯と同様に
・胸脇苦満(肋骨弓部の重苦しさ)
・心下痞鞭(胃が詰まる)
・腹直筋孿急(腹直筋の緊張)
などの症状があれば適応になります。

 

抑肝散(よくかんさん)
 最も虚証の方向けの柴胡剤です。抑肝散は、認知症の周辺症状(幻覚や易怒性など)を緩和する漢方薬として知られるようになってきました。認知症の人は我慢に我慢を重ね、抑圧された不満や怒りを抱えていると言われています。イライラを言葉として表出できず、怒りが他人に向かう人に適応があります。
・胸脇苦満(肋骨弓部の重苦しさ)
・心下痞鞭(胃が詰まる)
などの症状があれば適応になります。あと、抑肝散には赤ちゃんの夜泣きなどを落ち着かせる効能もあります。

 

 

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