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あしたへ向かって

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Moderna社のワクチンは12~17歳にも有望 !?

小児のCOVID-19は、一般に成人よりも軽症と言われているが、入院が必要になる場合もある。まれだが小児の多系統炎症性症候群(MIS-C)も報告されている。学校を安全に再開するためには、もちろん小児にも有効なワクチンが望まれる。そこで、mRNA-1273を12~17歳の小児に投与する臨床試験を進めていて、この論文は中間解析段階での安全性と有効性について報告している。

 対象は12~17歳の健康な小児とした。除外条件は、28日以内に海外旅行している場合、妊娠・授乳状態の場合、24時間以内の発熱や急性疾患がある場合、ワクチンやCOVID-19用の薬の試験投与を受けた場合などとした。食品や薬に対するアレルギー歴がある小児は除外しなかった。

 条件を満たした小児は、2対1の割合でワクチン(100μg)またはプラセボ(生理食塩水)に割り付けて、28日間隔で2回接種した。この試験では参加者と評価者をブラインドにして、シリンジを用意する薬剤師と実際の接種担当者はそれ以外の作業を担当しないようにしたという。

 主要評価項目は、安全性と免疫原性とした。各回の接種から7日後まで、局所と全身の有害事象を記録してもらい、28日後までの予期しない有害事象も記録した。免疫原性では、2回目の接種から28日後の時点のシュードウイルスを中和する抗体価を測定し、第3相臨床試験に参加した18~25歳の反応と比較した。副次評価項目は、2回目の接種を完了してから14日後以降の、SARS-CoV-2感染予防効果、COVID-19発症予防効果、または無症候のSARS-CoV-2感染予防効果を調べた。
 2020年12月9日から2021年2月28日までに、米国内の26施設で3732人(平均年齢は14.3歳、男性が51%)を登録し、2489人をワクチン群に、1243人をプラセボ群に割り付けた。実際に1回目の接種を受けたワクチン群2486人とプラセボ群1240人を主要評価項目の対象にした。さらに2回目の接種を受けたのは2480人と1222人だった。分析時点で、追跡期間の中央値は割り付けから83日、2回目の接種からは中央値で53日だった。

 自発的な有害事象報告は、初回接種後にはワクチン群の94.2%とプラセボ群の36.8%に、2回目接種後はワクチン群の93.4%とプラセボ群の32.6%に記録されていた。ワクチン群が、初回または2回目接種後の7日間に報告していた、局所と全身の有害事象の中で多かったのは、注射部位の疼痛(初回接種後は93.1%、2回目接種後は92.4%)と、頭痛(44.6%と70.2%)、疲労感(47.9%と67.8%)だった。プラセボ群も、注射部位の疼痛(初回接種後は34.8%、再接種後は30.3%)、頭痛(38.5%と30.2%)、疲労感(36.6%と28.9%)を報告していた。

 ワクチン群では、グレード3の局所の有害事象は、初回接種後には6.8%、2回目接種後には8.9%から、グレード3の全身性の有害事象はそれぞれ4.4%と13.7%から報告されていた。局所または全身の有害事象は、おおよそ4日間持続した。両群ともに重篤な有害事象の報告はなかった。

 各回の接種から28日後までの非自発的な有害事象は、ワクチン群の20.5%とプラセボ群の15.9%に発生していた。ワクチン群に多かったのは、注射部位のリンパ節腫脹(4.3%に発生)と頭痛(2.4%に発生)だった。ワクチンまたはプラセボに関連すると見なされた有害事象は、ワクチン群の12.6%とプラセボ群の5.8%に発生していた。死亡はなく、心筋炎または心膜炎は報告されなかった。

 有効性の評価では、2回目の接種から28日後の血清標本を用いて、シュードウイルスを用いた中和試験を行い、幾何平均抗体価(GMT)を求めた。18~25歳の若い成人と比較した相対的抗体価は1.08(95%信頼区間0.94-1.24)になった。血清学的反応率は、12~17歳が98.8%(95%信頼区間97.0-99.7%)、18~25歳は98.6%(96.6-99.6%)で、絶対差は0.2パーセンテージポイント(-1.8から2.4ポイント)だった。これらはいずれも、あらかじめ設定してあった非劣性の基準を満たした。

 

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