2021年APEC首脳会議 前半
1．2021年APEC首脳会議
◇ 2021年11月、APEC（アジア太平洋経済協力）首脳会議がテレビ会議形式で開催された。
→ 2021年のAPEC議長国はニュージーランドで、ジャシンダ・アーダーン首相が議長を務めた。
◇ 首脳会議では、議長国であるニュージーランドが掲げた、「共に参加し、共に取り組み、共に成長する」というテーマの下、全ての人々及び将来の世代の繁栄に向けた新型コロナウイルス感染症からの回復について議論をおこなった。
◇ 会議最終日に採択された首脳宣言では、新型コロナウイルス感染症パンデミックによって停滞した域内の人やモノの流れを活発にするため、新型コロナウイルス感染症の蔓延を防止するための取組みを損なうことなく、人々の越境移動を再開する方針などが盛り込まれた。
→ その他、「APECプトラジャヤ・ビジョン2040」を実施するための「アオテアロア行動計画」が採択された。
2．首脳宣言の骨子
◇ 新型コロナウイルス感染症に関して、安全で、有効で、品質が保証され、かつ手の届く価格の新型コロナウイルスワクチン、診断薬、治療薬、及びその他の関連する必要不可欠な医療品への公平なアクセスを強く支持する。
→ 人々が新型コロナウイルス感染症に対する広範な免疫獲得を確保することは、国際的な公共財である。
◇ 新型コロナウイルス感染症の蔓延を防止するための取組を損なうことなく、人々の越境移動の再開を検討する。
→ 情報共有及び航空機及び船舶乗務員に関係するものや、新型コロナウイルス感染症の検査及びワクチン証明書を含む、人々の越境移動に関連する協調措置の促進について、APECが大きな役割を担う。
◇ 2021年10月に、安定的で公正な国際課税制度に関する歴史的合意を歓迎する。
→ APEC地域における租税確実性の促進及び課税回避や課税逃避に対処する。
◇ デジタルインフラを開発し、新しい技術の開発と適用を推奨し、デジタル格差を縮小することを含む、開かれた、公平かつ包摂的なデジタルビジネス環境の構築に取り組む。
→ 「APECインターネット及びデジタル経済に関するロードマップ（AIDER）」の実施を加速する。
◇ 貿易について、WTOを中核とするルールに基づく多角的貿易体制は、経済回復において重要な役割を果たしうる。
◇ 我々は、自由で、開かれた、公正で、無差別で透明性があり、かつ予見可能な貿易・投資環境を支援するルールを制定するに当たっての、WTOの役割強化に協力する。
→ 2020年のAPEC首脳宣言においても、「自由で、開かれた、公正で、無差別的で、透明性のある、かつ予見可能な貿易・投資環境の重要性を認識する。」という文言が盛り込まれている。
◇ 市場主導による地域における経済統合を進める。
→ 地域の貿易協定の締結、批准、実施及び改訂に向けた進行中の取組を支持する。
◇ 気候変動に強い世界経済への移行のための喫緊かつ具体的な行動の必要性を認識し、ネット・ゼロ又はカーボン・ニュートラルのコミットメントを評価する。
◇ APECは、化石燃料への依存度を低減する持続可能なエネルギー移行の一環として、再生可能エネルギーなどについて一定の成果を挙げている。
→ 安定的なエネルギー市場及びクリーンエネルギーへの移行支援の重要性を認識する。
◇ 「2030年に向けた食料安全保障ロードマップ」を歓迎する。
→ 全ての人への、十分で、安全で、栄養があり、入手しやすく、手の届く価格の食料を提供するというAPECの取組の指針となる。
◇ 食品ロスや食品廃棄の削減に向けた取組を支持する。
◇ 違法・無報告・無規制（IUU）漁業と闘うためのAPECロードマップを実施するための具体的な措置をとる。
