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あしたへ向かって

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世界初の抗体医薬の花粉症治療薬について解説しています1

抗体医薬であるオマリズマブ(商品名ゾレアが、花粉症治療薬として登場した。季節性アレルギー性鼻炎に対する効果は、「ゾレアによって抗ヒスタミン薬の服用が不要になる」ほどだときいている。重症者には幸運なこととなるものの、従来薬と比べるとかなり高額な同薬を、実際に使用する際の注意点などをまとめた。

 

ノバルティスファーマスイス・バーゼルに本拠地を置く、国際的な製薬・バイオテクノロジー企業)は12月11日、免疫グロブリンE(IgE)に対する抗体であるオマリズマブ(商品名ゾレアに「季節性アレルギー性鼻炎(既存治療で効果不十分な重症または最重症患者に限る)」の効能追加承認を取得したことを発表した。季節性アレルギー性鼻炎に適応を持つ抗体医薬は世界的にも初めてのことであり、この適応拡大は11月の段階で承認される見込みだったが、同社が承認取得を留保するという異例の事態になったことでも注目を集めていた(その経緯は後述記述する)

 オマリズマブは、IgE(免疫グロブリンの一種)に直接結合し、IgEが介在する作用を特異的に阻害してアレルギー・炎症反応を抑制する。2009年に難治性の気管支喘息の治療薬として承認され、2017年には特発性慢性蕁麻疹に適応が広がった。

 季節性アレルギー性鼻炎の治療に使えるのは成人および12歳以上の小児で、1回75mg~600mgオマリズマブ2週間または4週間ごとに皮下に注射する。1回当たりの投与量と投与間隔は、初回投与前の血清中総IgE濃度および体重に基づいて決まる。例えば、投与前の血清中総IgE濃度が450 IU/mLだった体重55kgの成人であれば、1回600mgのオマリズマブ4週間に1回投与することになる。年間使用患者数は2000~1万人程度が見込まれている。

症状ピーク期における鼻症状スコアが有意に改善
 国内第3相試験の対象は、スギ花粉の前シーズンに既存治療を行ったが、鼻症状への効果が不十分だった12歳以上のスギ花粉症患者。ヒスタミンフェキソフェナジンアレグラ他)併用下で、同薬またはプラセボを、2または4週間間隔12週間皮下投与した。2018年3月5日~4月1日の期間は、吸入ステロイドフルチカゾンプロピオン酸を症状によらず併用。これらの薬剤を使用しても鼻閉スコア(Nasal Symptom Score;NSS)が2点以上の場合には点鼻用血管収縮薬のトラマゾリン(トラマゾリンを、NSSの構成要素のいずれかが2点以上の場合にレボカバスチン(リボスチン他)レスキュー薬として使用した。

 この結果、有効性の主要評価項目であった「症状ピーク期におけるNSS」(NSS;鼻閉スコア)は、実薬群(158例)の最小二乗平均値±標準誤差が3.66±0.15だったのに対し、プラセボ群(174例)が4.69±0.14と、プラセボ群に対する実薬群の優越性が示された(P<0.001、95%信頼区間:-1.44、-0.62)ここは医療統計の計算で求めれる。

最後にその他の鼻症状や眼症状などの有効性評価項目でも、プラセボ群に比べ実薬群で改善する傾向が認められたことが、今回の臨床で確認できた大きいところであると私は考える。