COVID-19死亡患者の多くは骨格筋に炎症あり !?
COVID-19で死亡した患者の骨格筋と心筋の炎症を評価するために、他の疾患で死亡した患者と解剖結果を比較するケースコントロール研究を行い、重症COVID-19で死亡した患者の多くに、軽症から重症までの筋炎が起こっていたが、ウイルスが筋細胞そのものに感染した可能性は低く、免疫介在型の筋炎であることが示唆されたと報告があがっている。
COVID-19患者の30~60%が筋痛を経験するといわれている。また、筋痛とクレアチンキナーゼの上昇は、軽症患者よりも重症の患者に多く見られる。軽症の筋炎から致死的な横紋筋融解症まで、ウイルス感染症と関連が見られる筋疾患は幅広いが、ウイルス感染症患者に筋生検が実施されることはまれ。
COVID-19群では、筋線維近傍において、NK46陽性でCD56陽性のナチュラルキラー細胞数の増加が見られた。中央値は高倍率視野(HPFs)10カ所あたり8個(標準偏差8個)と3個(4個)だった。ナチュラルキラー細胞は、COVID-19関連の筋炎の発生に関与していると考えらる。
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これらの結果からは、重度のCOVID-19で死亡した患者では、様々な重症度の筋炎の兆候が見られた。全体として炎症性の変化は、心筋より骨格筋の方強かったこと。
また、COVID-19が慢性的な経過をたどった患者において顕著だった。これらを併せて考えると、SARS-CoV-2感染後に起こる筋炎は、ウイルスが直接起こすというよりも、免疫学的反応が仲介して起こることが示唆されたと結論になるのではないだろうか。